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「うあああぁぁぁ!?」
門脇が顔を下げた時、ついでに押さえていた家永の腕を解放した。その代わりに今度は腰をがっちりと抱える。
「ぃっ! やめろぉっ!」
ようやく自由になった手で慌てて門脇の頭を押さえたが、そんなことで止まる門脇ではなかった。
そうでなくても甘い痺れが腰に溜まっていたのに、手が口に変わったというだけで凶暴な刺激になって家永をぐんぐん追い詰める。
家永に精を吐き出させたい門脇にとって、ある意味限りなく正解の行為。
だが、
(門脇君相手では、絶対にダメだ!)
と思っている家永に対しては、不適切極まりない行為。
自分のされている状態を直視できず、家永は目を瞑った。門脇を押さえても無駄と分かった腕で顔を隠し、往生際悪く足をバタバタと動かして抵抗は続けた。
(……ちっ、暴れやがって。やりにくい)
門脇は家永の暴れる足の膝裏を掴むと、ぐんと脇腹まで押し上げて固定してしまった。
「ぁっ、……それだけは……無理。嫌、だ……ぁ」
もはや成す術ない。
絞り出す家永の悲痛な声も無視して、門脇は一心不乱に行為を続けた。
「……」
やがて、家永の声がフェードアウトする。
すっかりおとなしくなった家永に
「…………………………嫌だっつー割には、めちゃくちゃギンギンになってんぞ」
一旦、口の中から家永のものを引き抜いて、門脇は他意なくむごい事実を告げた。
荒い呼吸が収まらないままに
「……堕天使である君の目的が……俺のしゃ……射精にあるのは、分かっている。が……」
本来なら到底言うには憚られる言葉だが、今の家永には、他の言い方など考える余裕なんてない。
目の端には、滲んだ涙をうっすら浮かべて
「……だったら、それは不向きだ」
と家永は言った。
「は? なんで? どうして? こんなのAVにありがち……つーか常套手段じゃねえか?」
門脇の堕天使として迷いのない言い方は、無邪気通り越して、邪気しか感じられない。
「君の口の中に出すのは、俺が嫌だからだ」
きっぱりと家永は言った。
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