第4話 薔薇・5☆

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「じゃあ、口じゃダメっつーなら手でイキやがれ!」 「……本当に君は、人の話を聞かないな……」  家永がため息交じりで言うと 「違うだろ。ちゃんと話を聞いてるから、ここまで譲歩してやってんじゃねえか」  さっきから続く水かけ論に埒が明かんと、門脇は業を煮やし、勢いよく家永のものを掴んだ。 「うわぁっ!」  不意打ちに、家永が悲鳴じみた声を上げる。 「あー、こんなになっちゃって! せっかく、もう少しでイキそうだったのに……!」  門脇はブツブツと文句を言うと、 「ちょっと自分で持ってろ!」  と、家永に門脇が押さえていた膝裏を持たせた。 (なぜ、俺が……?)  妙な姿勢を取らされて、家永が訝し気に思う間もなく 「や! ぁ、やめっ……!」  今度こそ門脇は乱暴に扱い始めた。 「さっさとイッちまった方が身の為だぜ」  門脇流の、家永の体を思っての言葉なのだろうが、どうにも脅し文句にしか聞こえない。 「ぃ……っ、ぃやだ! イキたくないと言っているのに……!」  門脇の乱暴な手淫に、鎮火しつつあったものが、再び勢いを取り戻した。 「嫌だ嫌だと往生際悪ぃな! 言っとくけど、手でイカねえんだったら直接触ってイカせちまうからな」 (ちょ、……直、接……?)  今、まさに直接触られているが?  すぐには意味が分からずに困惑していると 「さっさと手でイっときゃよかったって、後悔すんなよ!」 「う……?」  体を大きく曲げている姿勢の所為で、浮き上がったそこに門脇は指をあてがった。 「うっ、わああああああ!」 「うるっせーな! さっさとイキやがれ!」  触られて、とうとう家永は果てた。  結局、えぐいほど喘がされたのは家永の方だった。
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