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もちろん、そんなのは嘘だ。
用事がない限りは「昼は学食で」と菊池たちと待ち合わせしている。それをブッチして、しかもその理由が家永への昼食の差し入れ。菊池から聞いて、美羽には納得できずダッシュでここ・理科学教棟までやってきたのだ。
門脇の「よし」は出てなかったが、言うべきことは言ったのだ。義務を果たした当然の権利とばかりに、家永はペリリッとご褒美のカツサンドのテープを剝がしながら、
「まだ4月も始まったばかりというのに、レポート提出とは……」
思いついたままを口にした。
(秒でバレた!)
と思った美羽は、
「嘘じゃないもんっ! 本当だもんっ! それより、私だって欲しいんだからねっ!」
絵に描いたようにテンパった。
門脇に
「何を?」
と聞かれ、するりと
「かd……」
と言いそうになったくらいである。
うっかり口が滑りそうになって、あわわと自分で口を塞いだ。
(あ、あやうく勢いで告白するところだった……)
4年間、大切に温めてきた思いを怒りと焦りと勢いで告白だなんて、悲し過ぎる。
だが、家永が
「……やらんぞ」
冷ややかに言い切った。
「な、なによー! 偉そうに!」
もはや教官に対する言葉づかいではない。
(むちゃくちゃ偉い人に、御前崎は何を言ってるんだ?)
これには門脇も引き気味だ。
「ちょっと門脇君の指導教官になったからって、イニシアチブ取った気にならないでよね!」
「門脇君の指導教官になったからといって何なのだ?」
家永は、パクリとカツサンドに食いついた。
「ムキー! 何よ、先生! めちゃ分かりやすい宣戦布告!」
とてもミス慶秀大とは思えぬ、余裕のない言動。
家永は取り合わず
「みんなが欲しがるレアものだ」
今度は門脇がそっと横から差し出したコーヒーを開けた。
「それは分かってるわよ! みんな大好きかd……あわわわわ!」
美羽のうっかり暴露パート2である。
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