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正田彩子の方は、そんなミスコン運営委員会、現ミス慶秀大、会場の聴衆……、全てを敵と回す四面楚歌状態になったのに、一向に気にする様子はない。
「誰も御前崎美羽のこととか言ってないしぃ」
むしろ、ふてぶてしくしらばっくれていた。
「あなたね、めちゃ私の方指さしておいて、何、言ってんのー?」
怒ると、それだけでたゆんたゆんと美羽の大きなFカップのバストが揺れた。
彩子は、それをじぃっと見つめた後
「でかい……。けど、ちーっとも羨ましくなんかなぁいっ」
と言うと、ラッシュガードのファスナーに手をかけた。
「しゃーない。審査できなくて失格になったら、元も子もないもんね。
打倒! 御前崎美羽!」
嫌な掛け声と共に一気にラッシュガードを脱ぎ捨てる。
「おぉぉっ!」
会場が、一様に息を飲んだ。
見た目通りのスレンダーな体型は、適度な筋肉で締まり、鍛えた為に余分な肉や脂肪が一切ついていない。
(わぁ。内臓、どこに入ってんだろ?)
腹から背にかけて、横から見る美羽が見とれるくらいのスリムボディだった。
ただ細いからと言って、その体型が無理なダイエットをした結果ではないのは、彩子の肌艶張りを見たら分かる。
すらりと細くて長い脚、女子ならかなり憧れる太腿の隙間が流線形を美しく描く。
アスリートの着るような布地多めの水着から連想したのか、誰かが
「オリーブみたい……」
と呟いた。
正にそんな感じの、モデル体型だ。
この体型なら、先ほどの強気な発言も頷ける。
結局、多少物議を醸しだした形だったが、彩子も美羽も二次審査を通過した。
いよいよ残すは、最終審査のみとなった。
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