第3話 菖蒲・4

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 正田彩子の方は、そんなミスコン運営委員会、現ミス慶秀大、会場の聴衆……、全てを敵と回す四面楚歌状態になったのに、一向に気にする様子はない。 「誰も御前崎美羽のこととか言ってないしぃ」  むしろ、ふてぶてしくしらばっくれていた。 「あなたね、めちゃ私の方指さしておいて、何、言ってんのー?」  怒ると、それだけでたゆんたゆんと美羽の大きなFカップのバストが揺れた。  彩子は、それをじぃっと見つめた後 「でかい……。けど、ちーっとも羨ましくなんかなぁいっ」  と言うと、ラッシュガードのファスナーに手をかけた。 「しゃーない。審査できなくて失格になったら、元も子もないもんね。  打倒! 御前崎美羽!」  嫌な掛け声と共に一気にラッシュガードを脱ぎ捨てる。 「おぉぉっ!」  会場が、一様に息を飲んだ。  見た目通りのスレンダーな体型は、適度な筋肉で締まり、鍛えた為に余分な肉や脂肪が一切ついていない。 (わぁ。内臓、どこに入ってんだろ?)  腹から背にかけて、横から見る美羽が見とれるくらいのスリムボディだった。  ただ細いからと言って、その体型が無理なダイエットをした結果ではないのは、彩子の肌艶張りを見たら分かる。  すらりと細くて長い脚、女子ならかなり憧れる太腿の隙間が流線形を美しく描く。  アスリートの着るような布地多めの水着から連想したのか、誰かが 「オリーブみたい……」  と呟いた。  正にそんな感じの、モデル体型だ。  この体型なら、先ほどの強気な発言も頷ける。  結局、多少物議を醸しだした形だったが、彩子も美羽も二次審査を通過した。  いよいよ残すは、最終審査のみとなった。
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