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翌日は、快晴。
授業の妨げになることを学生会が企画するわけにもいかずに、大学の最終講義終わった時間に設定していたのが幸いした。気温も家永が気にする紫外線も、少し傾きかけた陽の下では心配いらないだろう。
中庭にはゆうに500人を超える人数が集まっていた。
計画した北野は、
「ふふふ。野外会場、大成功」
と、ほくそ笑んだ。
昨日、近藤大奈は「全部立見席」と言っていたが、中庭に点在する花壇の縁に座ったり、ご丁寧にキャンプ用の椅子を持ち込んだりと「野外」と聞いて用意周到に準備し、それぞれ野外ライブ感覚で楽しんでいる。
どんどん審査が進む中、美羽は現・ミスなので7番目、一番最後の登場となっていた。
「わあ、美羽。今年はそれで行くのね!」
中庭に隣接する大学の図書館棟。その一室を最終候補者の控室として、実行委員は借りていた。近藤大奈は、最終決戦前に美羽を激励しようとそこを訪れた。
「これなら門脇君もイチコロね」
「だったら、いいんだけどね」
恥ずかしそうにしながらも、大奈の反応に美羽はまんざらではなさそうだ。
「毎年、毎年よくやるなぁと思っていたけど、今年は気合入っているわね」
ミスコン最終審査は、特技を披露しての審査である。
今年も容姿だけではなく多才な学生がエントリーしている。先ほどの候補者は「アイドル」を歌って踊った。その前の候補者は、得意のピアノを活かして弾き語りを披露した。
美羽は…………、残念ながら特技という特技はもっていない。
100人が100人共可愛いと答える愛らしい顔に、推定Fカップのメリハリボディ。ミスとしてこの上ない容姿だ。さすがにそれ以上の才能は、神様は与えてくれなかったらしい。人にお披露目するほどの特技はもっていないと、本人も分かっている。
勢いにまかせての1年目は、白衣のコスプレでミスコン優勝をかっ攫った。2年目は、「こうなったら最終審査はこの路線で行くわ!」と固く決めた美羽は初音ミクの「千本桜」の衣装と歌で乗り切った。
3年目の今年、ぴょこんと飛び出した黒い耳、ミニスカート自体に長いふさふさのしっぽを付けている。
ちょっと気になる大奈の言い方だが、美羽は褒めていると受け取った。
「2月の元担の格好見て、ヒントを得たの。今年はこれだ!って」
「……ああ、あの狐耳ね……」
大奈が遠い目をした。
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