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その静けさの後に、どっと笑いが沸き上がった。
「何、それぇ?!」
「オリーブちゃん、草オタクか?」
「まじ、面白え!」
「うけるー!」
これまでにないミスコンの特技披露だったが、どうやら受け狙いの発言と取られたらしい。嘲笑まじりではあるが悪い反応ばかりではない。
よくも悪くも難関校である慶秀大。自分の好きな学問極めたい学生が集まっている。勉強オタクで、可能なら夜を徹して自分の好きなものについて語り尽くしたいくらいというような集団だった。
だから他人のオタク趣味にとやかくいう気も風潮もなかった。
ところが、正田彩子は否定されたと受け取り、真向、反論し始めた。
「ちょ、笑うとかマジやめて。うちは、真面目に言うちょるんよ。
ちょお考えてみぃ!
無人島に行った時に必要なんは何? 美しさか? 可愛さか? 胸の大きさか?
違うやろ? そがんもん、なーんの役にも立たん! 必要なんは、食えるものと食えんものの違いが分かることったい!」
(……いや、無人島とか行かないし……)
近藤大奈が思っていると、たまたまだろうか、ステージの上の彩子からジロリと睨まれた気がした。
「……無人島じゃなくっとん、山ん遭難した時でも良かよ」
彩子がしれっと追加し
(……あれ? 心、読まれた?)
と大奈は思った。
(しかし、またあからさまに罵ってくれるわね)
またもや大奈が不愉快そうに顔を歪めた。
『美しさか? 可愛さか? 胸の大きさか?』
現ミス・御前崎美羽を指してのことだ。
これが、良くなかった。
野外会場には、正田彩子との対決を面白がって集まった輩以外にも、アンチが現れたと危惧し純粋に美羽を応援したいという者も多数応援に駆けつけていたのだ。
この発言は、親友・近藤大奈でなくとも見逃せない。
「はいはい。残念ながらサバイバルもしないし、山にも行かないしー!」
「草ばっか食べてるから、そういう体型なんだろ?」
「御前崎ちゃんのナイスバディを妬んでんじゃねーぞ! みっともねーぞ!」
「『オリーブ』とか言われて、調子こいてんじゃねぇ!」
「寸胴!」
「棒っきれ!」
「てめえ見てても『女性』とは思うけど、『女』って感じしねえんだよ!」
正田彩子の言葉に反応して、あちこちから罵声が上がった。
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