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「ふむ。門脇君が捨てて行ったペットボトルが、役に立ったな……」
見事なごみの再利用法に家永が感心していると
「え? これ、門脇先輩の飲んだものやったん? あちゃー、しもたぁ。洗ってしもたぁ!」
彩子は至極残念そうにした。
(……それを洗わずに、どうするつもりだったのだ?)
家永は思い切り怪訝な表情を浮かべた。
「ところで……どうしたんだ、それ」
気を取り直して薔薇のことを家永が訊いた。
「今、バイトしている植物園ば薔薇が満開っちゃね。うちの勤勉っぷりに感心した薔薇園担当のおいちゃんが『何本でも好きなだけ持っていきな』と言うけん、このクリムソングローリーば三本、貰ってきたっちゃん」
(彩子君に植物園……)
天職だなと家永は思った。
「門脇先輩に届くとよかがね……」
「?」
うっとり薔薇を見つめながら付け足した彩子の言葉が妙に引っかかり、家永は目の前のキーボードをカチャカチャと素早く叩いた。
『赤薔薇 三本 意味』
そこで、虫眼鏡マークをパーンとクリックする。
すぐにヒットした「愛しています」「告白」の検索結果に
「あれだけ分かりやすくアピールしているのに、更に君は告白をし続けるのか……」
彩子の果敢に挑み続ける鋼メンタルに、7:3で敬意を払った。もちろん残りの3は呆れていた。
「じゃあ、用も済んだし、うちぁこれで帰るっとよ……ん、んん?」
彩子は帰ろうとして、机の上に無造作に置かれたものを二度見した。
「ちょ、やっ……きゃああああ!」
真っ赤になった顔を両手で覆う。
「や、これ! なしてこがんもんばこげなとこに置いて! 家永先生も男っちゃろうけど、こがん堂々置いとったらセクハラで訴えらるっとよ!」
彩子の過剰ともいえる反応に、
(……机の上に何か置いていたか?)
家永は面倒そうに再びモニターから視線を移した。
「一体、何の話だ?」
「これ、これぇ!」
彩子は、机の上の同じ個所を何度も指さした。
「なっ……!? なぜ、そのようなものがここに?!」
家永も目を白黒させる。
『えぐいて あえいで 微乳堕天使控えめに言って再降臨』
はっきりと「R18」と書かれた、AAカップと名高い平賀朋のアダルトDVDである。
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