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DVDでの相手の男は、そんなに経験なさそうないわゆる冴えない奴だった。今の家永と同じ、部屋着に洒落っ気の欠片もないスウェットの上下を着ている。
そんな男の元に、突然、何の脈絡もなく堕天使は「じゃじゃーん!」と軽快に舞い降りた。
「あーら、こちら、ずいぶんと自分を構ってないのね。ふふふ、大丈夫。全てはこの微乳堕天使にお任せ! 構って構って構いまくって、君を天国に連れて行っちゃうぞー!」
セクシーポーズを決めると、嬉々として男の足の上にひらりと跨ったのだ。
それを今、家永は夢の中で再現している。
彼女は、直に触らない。布越しに強弱つけてじわじわと高めている。こういう焦らしも、その絶妙な触り具合も、この世界で支持され続けた彼女のテクニックの一つなのだろう。
「……っ……!」
彼女の策略通り、奇妙なもどかしさも手伝って、(この程度なら……)と、高を括っていた家永の心がざわつき始めた。
光沢放つレザー生地の胸元までのクロックドトップスに、きわどいショートパンツ。ニーハイストッキングは穴あきタイプで、ところどころ見える生足がセクシーさを助長している。背中には黒い羽模様のタトゥ。
堕天使というよりも、もうサキュバスでいいじゃないかと思わないでもないが、長年菊池と門脇も大好きな「微乳堕天使」シリーズ。大人気堕天使シリーズを、突然、淫魔に変更するわけにはいかない。
家永とそんなに年齢も違わなさそうな彼女は、つまり知己とも年は変わらないということになる。
顔以外にも、知己との類似点を見つけて、家永の頭が混乱し始めた。
(やばい、平野にこんなことされたら……)
家永は、きゅっと目を瞑った。
その途端、
「……家永……」
「?!」
聞き慣れた声に驚いて、目を開く。
いつの間にか、自分の上に乗っている者が、平野知己にそっくりそのまま入れ替わっていた。
さっきまでのセクシーなAV女優は、どこにもいない。
その位置にセクシーな服装の男が、パツパツのレザー生地の服を着て、少し頬を赤らめながら家永に跨っている。
「ひ、平野……?」
家永が確認するようにその名を呟くと、少し照れたように男はコクンと頷いた。
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