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「ふふふ、いいんだぞ。もっとおっきくしても」
かなりAVに影響されて家永の中で作られた平野知己は、普段なら絶対に言わないようなことを平気で言った。
家永の反応にすっかり気を良くした平野知己は、緩やかに家永の両足を開かせ、その間に陣取った。収まりよくなった平野知己は、どこにも逃がさない気持ちもあってか、そこを両手で包み込む。顔を落としてお気に入りの中心部には執拗に何度も唇で触れてきた。
「……ふ、……ん、ぅっ……!」
平野知己の唇が触れる度に家永は、短く息を吐く。
もう「やめろ」という制止の言葉も出ない。湧き上がる劣情を呼吸で逃す。
昼間に観たAV通りに振舞う平野知己と同じようにAV男優の行動をなぞる家永。家永は両手でシーツを握りしめて、平野知己の甘い悪戯に耐えるだけだった。
口付けられる度に、家永にそこから甘い痺れが走り、脳まで駆け抜けていく。甘美な痺れは折り返して、家永の腰に重く溜まっていく。
家永は甘く重く熱いものが形を成して、ずんと集まっていくような感覚に囚われた。
次第に緩く兆していただけだったものが、知己に弄られ口付けられて、確実に硬さを増していくのを、家永自身も感じていた。
「なあなあ。これ、俺が大きくしたんだから……ご褒美に俺の中に入れてくれよな」
すっかり形を変えて張り詰めたその部分を、平野知己が愛おしそうに触れる。
「今夜は搾り取っちゃうからな」
堕天使の決めセリフと共に平野知己がウィンクをした。
(こいつ……)
現実では絶対にしない小悪魔な微笑みを向けられて、家永は複雑な気持ちになった。
ご褒美感たっぷりの知己の言葉だが、素直に喜べない。
(……そう言って、俺を3度も振ったのは誰だよ)
通算、三度知己には振られている。
特に三度目は酷かった。
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