第4話 薔薇・5☆

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「さあ、お楽しみの時間だぜ」  暴れる家永の両手を片手で易々と押さえる門脇は、太腿の上に跨って勝ち誇った顔で見下ろした。 「……ぅっ……」  すっかり身動きとれなくなった家永にできることは、低く唸るだけだった。 「安心しろ! 先生は、じっとしてていい」  まったく安心できない。 「すぐに俺が天国に連れて行ってやるからよ!」  それ、地獄の間違いでは……と言いたくなる。  そんな不穏な笑顔を浮かべ、門脇は家永のすっかり形を変えたものに手を伸ばした。 「……っ!」  先端に親指を当てがうと、上下に扱き始めた。 「ぃ……っ、痛っ……!?」 (……痛……くない?)  360度どこを切り取っても邪悪そうな顔と素行。  てっきり乱暴に弄られるかと思いきや、思ったよりもゆっくりと、だが確実に家永を高みへとひっぱり上げる。 「……ぅ、ふっ……ぅぅ……」  家永が唇を引き結んで耐えていると 「おいおい。なんで声、我慢してんだ? じっとしてろと言ったが、黙れとは言ってねえ。むしろ聞かせろ! 俺が聞きてえんだよ!」  ああしろこうするなと注文の多い堕天使が、家永の顔を覗き込む。 「……」  そう言われて、はいそうですかと声を出すなんてできない。かといって、とても黙ってなどもいられない。  家永は眉間に皺を寄せて、不快の空気を醸し出した。 「ははっ! 残念だが、その顔そそるなぁ」  門脇が家永を揶揄った。  グチグチと粘液質な音が聞こえる。  家永の先端は透明な玉を結び、それを門脇が親指で塗り込むように広げていく。  家永の喉に門脇に絶対に聞かせたくない声が()り上がってきていた。  門脇の手の動きに合わせて、ビク、ビクと不本意にも腰が震える。数度目の刺激に堪らず 「……ぃっ……!」  と、とうとう声が漏れた。 「あーん? なんだぁ?」  家永のたまらず漏れた小さな声を聞きつけて、門脇が意地悪く聞き返した。
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