10人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
3 たとえば昨夜のふたり 浴室にて
少し遡って。
ピアがロゼルタの部屋に「大変ですっ!」と駆け込んだ日の前夜、ふたりはいつものようにこんなふうに過ごしていた。
――そう、いつものように。
◇ ◇ ◇
「……ん……ピア、もう……」
王女の寝室の奥に設けられた浴室に、切なげな掠れ声が響く。
ロゼルタは一糸まとわぬ姿で浴槽の縁に腰掛け、その脚の間には湯浴み着を身に着けたピアが屈みこんでいた。
「――そろそろですね」
片手で優しく触れていた〝宝玉〟の変化を感じ取ったピアは、〝王位継承者のしるし〟を擦り立てているもう片方の手の動きを速めた。
「……んんっ……!」
しるしの先端から勢いよく白濁液が噴き出し、薄布で作られたピアの湯浴み着の胸元を濡らしていく。
「は……ぁ」
ロゼルタが息を整えている間にピアは優しくしるしを洗い、清潔な布で拭いてにっこりと微笑んだ。
「今夜もお見事でいらっしゃいました」
「汚しちゃってごめん……」
「光栄です。〝白き賜〟を、この身に浴びたのですから」
誇らしげな笑みを向けられ、ロゼルタは複雑な表情になる。
「――ピアも脱いで」
「えっ……」
「湯浴み着に〝白き賜〟が付いちゃったし」
「で、でも……」
ピアがはにかむと、ロゼルタは諭すように言った。
「私たちしかいないんだから、何も恥ずかしがることはないのよ」
「そ、そうじゃなくて……」
もじもじとうつむくピアを見て、ロゼルタの目がきらりと光る。
「――濡れてるのね?」
最初のコメントを投稿しよう!