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41 女王陛下の処断
「ほ、ほらね!」
ロゼルトたちが出ていくと、すっかり忘れられていたカーラが再び勢いづいた。
「暗いところで二人きりになろうとするなんて、やっぱりいかがわしい関係――」
「もうおやめなさい、カーラ・スィ・フィチーレ」
冷静な女王の声が遮る。
「あの子たちは、こんなにたくさんの人たちの目の届く場所にいるのよ?」
庭園側に設けられたいくつもの大きな窓のほうに顔を向ければ、星灯りと篝火に照らされながら噴水のあたりで立ち止まっているふたりの姿を、誰でも遠巻きに眺めることができた。
悔しそうに唇を噛んだカーラに、フォルタは粛々と告げる。
「それよりも、あなたが大勢の前でいろいろな人を侮辱したことは看過できません」
「で、でもっ……」
「じょ、女王陛下っ」
うろたえながらバレンテ伯爵が愛娘の前に歩み出た。
「成人したばかりの不出来な娘がしでかしたこと。徹底的に再教育を施しますので、なにとぞ寛大なお計らいを……!」
「お父さまぁ!? いつもわたくしのことを『どこに出しても恥ずかしくない娘』だって」
「お、お前は黙っていなさい」
「あれは嘘だったの?」
「い、いいから口を閉じなさいっ」
「どうしてよ!?」
言い争う父娘を呆れ顔で見ながら、女王は再び口を開いた。
「バレンテ伯爵、本当は明日にでもあなたを呼び出して話をしようと思っていたのだけど……」
訝しそうに顔を上げた伯爵に、フォルタは静かに訊ねる。
「あなたは今、二つの領地を持っているわね?」
「は、はい。先祖が住んでいた小さな片田舎のイコローと、亡父が手柄を立てて前の女王陛下から伯爵位と共に賜った広大な豊穣の地ランデでございます」
「その豊穣の地ランデに、領主であるあなたは何年訪れていないのかしら」
「えっ」
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