一生の心配

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エレベーターで1階まで下り、一生は瑠璃の腰を抱いたまま歩き出す。 ロビーの空気がザワッと変わり、皆が一生達を振り向いて息を呑む。 すごい…すてき!うわー、かっこいい! 口々にささやかれる声を聞きながら、瑠璃の後ろで叶恵は小さくガッツポーズを作る。 ふと隣の早瀬を見ると、眉をハの字に下げていた。 これからいったいどうなるんだよ…という心の声が聞こえてくるようだ。 エントランスから外に出ると、ムワッとした暑さの中にも、夜の心地良い風が感じられる。 (うん。やっぱりショールがあった方がいいわね) 叶恵は心の中で頷いた。 早瀬が開けた車のドアから瑠璃が後部座席に座ると、反対側の、運転手が開けているドアから一生も乗り込んだ。 最後に助手席のドアを開けてから、早瀬は叶恵を振り返る。 「では、行ってきます」 「行ってらっしゃい。早瀬さん、グッドラック」 小さく親指を立てて見せた叶恵に頷くと、早瀬は助手席に座ってドアを閉めた。 ゆっくり動き出した車に、叶恵は深々とお辞儀をして見送った。
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