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瑠璃は、叶恵が取り出したゴールドのショールを半ば奪うように掴むと、肩と背中を覆って胸元を隠すように前で結ぶ。
ふう、なんとかこれでいけるかなとホッとしていると、叶恵がまた抗議の声を上げた。
「ええー?なんですか、その結び方。風呂敷背負ってるんじゃないんですから」
そう言って結び目を取ると、ショールを肩の下まで下げてから、瑠璃の両腕に片方ずつ絡ませた。
これだと背中が隠せただけで、肩と胸の露出は変わらない。
「だーめ!これでいいの!」
瑠璃は再び、上半身を隠すように胸の前で結ぶ。
すると叶恵が、急に声のトーンを変えた。
「瑠璃さん…いいんですか?」
「え、な、なに?」
「今日は外資系のパーティー。ゲストは誰もがハリウッドスター顔負けの装いですよ?女性もみんな、ゴージャスかつセクシー。そんな中、瑠璃さん一人だけ風呂敷背負ってても?」
「え、だ、だから風呂敷じゃないもん」
「でもダサさは際立ってますよ。いいんですね?フォルトゥーナの総支配人夫人が、ダサいって思われても?」
うっ…と瑠璃は言葉に詰まり、上目遣いに叶恵を見る。
「それは…困ります」
「でしょ?じゃあ、はい!こうしましょ」
そう言って叶恵は、ショールを瑠璃の肩の端ギリギリのところに当てると、胸の上にふわっと掛けて柔らかく結んだ。
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