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家ではなく公園に集合。ということは、儀式は公園でなければできないことなのかもしれない、と思っていた。
案の定、当日ケイくんは大きなレジャーシートと画用紙を持って姿を現した。広い場所が必要なうえ、屋外でやらなければいけない儀式なのだという。俺達四人は、ケイくんに指示されるままシートを敷いて、儀式の準備を手伝ったのだった。
「えっと、シートの四隅にそのへんの石を置いて固定な。風で飛んでっちゃうから」
「おう」
「あと、シートの上に画用紙広げるから、こっちも四隅に石。……もっと大きいのねえ?」
「ぎゃああああああああああああああ虫いいいいいいいいいいいいい!!」
「それは大きすぎ!ていうか虫にビビるとか女子かよタイジュ!」
「ううううううううるせええええええええ!」
手順は少しだけ面倒くさかった。
シートを敷いて、四隅を石で固定。さらにシートの上に画用紙を置いて、こちらも四隅を石で固定。その上で、画用紙の方はセロテープを使ってレジャーシートに四つの片を貼り付ける。
そこまでやったら次は、画用紙の真ん中に赤いクレヨンで五芒星みたいなのを描く。これは、ケイくんが該当の動画を見せて説明してくれた。
コジコジコージ、という名前のおじさんユーチューバーの動画である。彼が雰囲気が出るからなのか、夜中に家の裏でこの動画を撮影している様子だった。
「五芒星を書いたら、余白に全員自分の名前を書く。赤いサインペンで。オレもう書いたから、他のみんなも書いて書いて」
「おっけ」
余白に名前を書いたら、いよいよ呪文を唱えるらしい。画用紙に触らないようにしながら、ぐるりと取り囲む形でレジャーシートに座る俺達。――後で思うと、ここは屋外だし、関係ない人が見たらかなりシュールな図だったと思う。何故かその時の俺達は、周囲の人目なんかまったく気にしてはいなかったけれど。
「この儀式は、エイプリルフールにやらないと効果がないんだってよ。嘘をついていい日だから、特別な嘘の神様が降りてくるんだって言ってた」
どこか楽しそうに、正座したケイくんが両手を合わせた。俺達も彼に習って座り直し、お祈りでもするように手を合わせる。そして、彼に言われるがまま目を閉じたのだった。
「今からオレが呪文唱えるから、右のタクミから一緒に復唱してな。三回ずつだ、間違えるなよ。フリアバセイラトワメル、フリアバセイラトワメル、フリアバセイラトワメル。……はい、どうぞ」
「フリアバセイラトワメル、フリアバセイラトワメル、フリアバセイラトワメル」
「フリアバセイラトワメル、フリアバセイラトワメル、フリアバセイラトワメル」
「フリアバセイラトワメル、フリアバセイラトワメル、フリアバセイラトワメル」
「フリアバセイラトワメル、フリアバセイラトワメル、フリアバセイラトワメル……」
何語かもわからない呪文を、聞いただけで、メモもせずに三回唱える。結構難しかったはずなのに、不思議と俺達は一発で覚えられたし、全員間違えずに復唱できた。まるで、不思議な力が頭を乗っ取ってでもいたかのように。
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