とりかえしがつかない。

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とりかえしがつかない。

 そろそろタイムリミットだし、何も起きないと信じて話す。  とりあえず、俺のプロフィールだけ簡単に説明しておく。今年で中学一年生になる男子。名前は――適当に、“タクミ”とでもしておくことにする。  去年の春。俺は、俺達は取り返しのつかないことをしてしまったのかもしれない。あくまで可能性の話だけど、抱え込むのが限界なのでここに書き込ませてもらうことにした。  去年。小学生だった俺は春休み、近所の友達と遊びまくっていた。  その年流行していたのはとあるテレビゲーム。特に、ケイくんっていう一つ年下の男の子がでっかいゲーム機を持っていたので(そして一戸建ててちょっと大きい家に住んでいたので)、みんなで彼の家に遊びに行くことが少なくなかったのだった。  そのそのゲームは、いろんな種類のパーティゲームが一つのゲームソフトの中に入ってるやつだった。  特に僕達がお気に入りだったのは、四人ずつで対戦できるレーシングカーのゲーム。彼のお父さんとお母さんは共働きで昼間は家にいないこともあって、多少家に上がり込んで騒いでも叱られなかったのだ。 「うおおおおおおおおおおおおおおいけいけいけいけいけえええええええええええええええええええ!」 「おま、お前!なんでそこで甲羅打つの!?」 「あああああああああああポイント踏み損ねた!やらかしたあああああああああああああああああ」 「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ落ちるうううううううううううううううううううううううううううううううう!!」 「死んだ……マグマ、死んだ……」 「お願いケイくんそこどいて、そいつ殺せない!」 「ま、おま、ちょ、押したら……穴あああああああああああああ!」 「前々から思ってたけど、俺らはもう少し協力してプレイするべきだと思う。特にこのクラス、NPC強すぎてどうにもならん……」 「気持ちはわかるけどそれはレース開始前に言うべきだった、タクミ」 「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」  とまあ、こんなかんじ。  正直に言おう、よくご近所からうるせえ!とクレームが来なかったと思う。  その時の僕達は、そんなこちちっとも気にしていなかったけれど。
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