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君に話したいことがあるんだ②★
恐怖で縮み上がる性器を巧みな手淫で煽られる。
緩く半勃ちになった性器を捕らえられ、逃げることは叶わない。
そんな異物を入れられるのかと大知は恐ろしくて既に涙目だった。
「深山、い、嫌だ、そんなもの、」
必死で説得しようとするが、そんな努力は無駄だった。
ローションをたっぷり塗り込まれた亀頭の割れ目 尿道口に、こちらもローションを塗りつけ済みなプラグの先端が宛がわれる。
「っぃ────・・・!!」
つぷ、と嫌な冷たさと異物感。
「あ、・・・ぅ」
怖くてシーツを握り締めながら浅く息をする。
深山はそんな大知に、上手だね、と妙な世辞を言ったが、そんなことを褒められて嬉しいわけがない。
ここで暴れたらトンでもない大惨事になりそうで、大人しくするしかないだけだ。
異物感に苦しんだのは最初だけで、中に入っていけば驚く程 尿道は突起の無いつるりとした太さ0.6mmのプラグをすんなり受け入れ始めた。
短めの長さであるプラグは前立腺に届くことはなく、尿道の中途で挿入が終わり、大知は息をついた。
深山は亀頭の先から ぶら下がっているリングを指で摘むと、亀頭を潜らせ先端の括れに引っかけた。
亀頭にせり出た丸い突起がまるでピアスのようで、更に性器の先に掛けられたリングが滑稽で泣きたくなる。
しかも、まじまじと眺められる羞恥も相まって今すぐ取ってくれと喚いたが深山は聞く耳を持たず、似合うね、などと勝手に言っている。
こんなものを付けさせて一体どうする気なのか。大知は怖くてたまらなかった。
今のところ、違和感はあるが痛くはない。それでも、少し苦しい。
不安な面持ちでおろおろしている大知を宥めるように深山が髪を撫でてくる。
しかしその優しさは何の慰めにもならないことはわかっている。
何事も無いように再開された愛撫を受けながら、大知はこの先に起こるであろう事が不安で仕方がなかった。
それは案の定 的中する。
深山のローションをたっぷり纏わせた指を後ろの孔に宛がい、ゆっくり解すように挿入した。
慣れた手付きのその指が中へ入り込み、粘膜を擦り始め、二本に増した指の腹が前立腺を揉み、押し上げる。
「ああ、・・・っ」
腰に重たるく快感が走り、続く指での煽動に嫌が負うにも性器は反応して完全に勃起していた。
だが異変を感じた。いつもなら溢れ出てくるはずの先走りはプラグに堰き止められている。
出口を失ったそこは熱く疼き、更に煽るように耳裏やうなじに口付けの上に甘噛みされ、もう片方の手で乳首を捏ね回してくる深山に、大知は深山の下で最早 身悶え始めていた。
堪えようと必死にしがみついている大知に、深山は苦笑した。
「もう取って欲しい?」
「あ、当たり前、だ!」
こんなもの苦しいだけだ。
すると、深山は中をゆるゆると擦りあげていた指を再び前立腺の膨らみに宛がう。
「────っ」
思わず息を呑む大知の耳元に深山は囁いた。
「じゃあ、そろそろきちんと話してくれないかな。今朝、通勤途中で何があったのか」
「!!!」
やはり大知から “聞き出したいこと” とはそのことだった。
通勤電車での出来事と社の仮眠室でのやり取りを思い出し、大知は戦慄した。
この状態で言えというのか。それでなくとも言いにくいことを。
口を開閉して深山を凝視している大知に深山は更に薄く笑った。
本当はもうすでに予測など付いているに違いない。
何事にも聡い彼は大知の事についても紛うことなく鋭く正しく理解している。普通の問答では大知が話さないであろうことも。
すんなり話せば こんなおかしなモノは外してくれるかもしれないが、やはり己を限りなく独占しようとする目の前の恋人は恐ろしい。
震えている大知に、短気だと自身を称した彼は予告無く前立腺を強い力で揉みだした。
「!!、あ、あ」
びく、と身体がしなり性器が所在無く揺れる。
そこへ深山の手が伸び、根元を捉えると扱き始めた。
「ひ、」
すでに三本に増えている孔への指の抽挿の動きも加わり、手淫と共に一気に射精感が高まる。
だが、プラグで尿道を堰き止められているため、解放は許されない。
もどかしい快感に大知は早くも降参だった。
「深山、は、話す! でも、」
「うん?」
「話す、が・・・怒らないか?」
「僕が怒るようなことをしたの?」
「う、────、」
別に好きでしたわけじゃない、されたんだ! と我慢出来ず大知は喚いた。
「された? 何を?」
先を促す深山に、大知は不承不承 頷きヤケクソ気味に言い切った。
「ち、痴漢、された! だけだ! 以上!」
「・・・」
望み通りちゃんと話したのだから、もうコレを取る! と深山を押しのけ、身を起こした大知は、性器の先端に喰いついているペニスプラグを恐る恐る抜こうとした。
が、上手く抜けない。
痛みが走るのではと自分では妙に躊躇してしまい、力加減が上手くいかずに抜けないのだ。
焦っていると、突然 その手を払われた。
驚く間もなく大知は起こしていた身を乱暴にシーツへと押し付けられた。
「な、何 、」
「成程。よく分ったよ」
「そうか! それは良かった。なら、もうコレを外してくれ!」
「駄目だよ。まだ何も済んでない」
すると、深山は素早く大知の膝裏に手を差し入れると ぐいと 押し上げ両足を割り開く。
膝頭が胸に付くほど身を折り曲げられたかと思うと、孔に既に怒張していた先端を宛がわれる。
大知が息を呑む間もなく、深山は一気に先端を躊躇することなく押し進めた。
「、あ、────ああっ!!!」
乱暴に揺すられ、肉の輪をくぐる太い幹に大知は悲鳴を上げた。
容赦なく開始された抜き差しに散々塗り込められたローションと、深山のカウパー液が大量に混ざり、抽挿の度に溢れ出す。
「んあ、ああ、ひ、アあ、・・・ま、待っ、・・・て、く」
「待つ? 何を?」
意地悪く聞き返され、大知は深山を見上げれば彼は冷笑を浮かべていた。
ゾッとするようなその表情。激情は感じられないのに、激怒しているに違いない。
ああ、何故 朝だけでなく、こんな今も己は酷い目に遭わなければならないのか。
別に好きで触らせたわけではない。そんなことあるわけがない。俺は悪くない! 触った痴漢野郎が悪い!
なのに、深山はさも大知に非があるように怒りを露わにしている。
大知は必死で深山を押し留めようと胸元に手を添えたがそれも払われ、逃げを打つ腰を強引に掴まれ引き戻されると、更に打ち付けるように腰を振るわれる。
「! ぅあ、・・・ああ、っ、んあっ────」
「例え、不可抗力でも、勝手に、触らせて欲しくないな」
「────っ」
「君は、僕だけのものだ。そうだよね?」
激しいグラインドに堪えかね、大知は必死に そうだと首を縦に振った。だが、少しも責苦は軽減されない。
「それで?」
「っぅ、ああ・・・、っ??」
再び冷淡に深山の質問が降ってくるが、これ以上何を聞きたいというのか。
「どこを、どうやって触られたって?」
「────・・・!」
理不尽な深山の怒りはおさまらない。大知は額に冷や汗が浮いていた。
それでも言わずにいればこの責苦は続くだろう、容赦なく。
大知は口をはくはくさせながら、ようやく言い繋いだ。
「べ、つに大して・・・っさ、わられて、いない、」
「へぇ。」
「し、尻・・・く、らい、しか、」
「くらい?」
聞き返してくる低い声音に、大知は恐ろしくてもう半泣き状態だった。
例え理不尽な怒りだろうともさっさと謝ってしまえばいいのだ。己は悪くなかろうとも謝れば少しは深山の怒りが収まるかもしれないではないか。
大知は謝ろうとした。が、突然、腰が浮くほど下肢を掴み上げられ激しく突き上げられた。
その急激さに粘膜がぎゅうぎゅうと悲鳴をあげる。
「!?!っひ、────や、やめ、」
何度も何度も奧の狭隘を突かれ、荒く引き戻される猛威に大知は目の前が白んできた頃、角度を変えて更に貪り続けていた威迫が爆ぜ、下腹深くへ重たるく吐精を受け入れさせられる。
どくどくと こめかみにすら濁流の音が聞こえてきそうで大知は小さく喘ぎ続けた。
苦しい。もう助けて と請いたかった。
だが、深山の怒張は少しも解けておらず、すぐさま抽挿が開始される。今度は打って変わり、穏やかに。
ゆるりと入り口を引き伸ばすかのように緩慢に出し入れが繰り返され、愉悦だけを与えていく。
中に出された精液は深山が腰を引く度に掻き出され、熱さが冷える違和感に大知は身震いした。
痛むほど大知の身を掴んでいた深山の手は、今や優しく大知の肌を撫でている。
その穏やかさが先程までの激情とは雲泥の差で、大知へ更に恐怖を感じさせた。
すると、再び腰を抱えられる。
また奧を穿たれるのかと大知は汗が浮いたが、そうはされず、深山は緩やかに、だが的確に前立腺の膨らみを突き始めた。
「あ、ああ、」
痺れるような、どうしようもない抗いがたい快感が身を襲う。
そこが気持ち良いのだと覚え込まされてからは前立腺を刺激されるだけで射精感が込み上げる。
今まさにその感覚が大知を支配し欠けていた。
しかし同時に違和感があった。付けさせられているペニスプラグだ。
尿道を堰き止めているそれがあっては達せない。
でも、次から次へと身を苛む射精感は止まらない。
「ぁあっ、ぅぅう、い、や、ああ」
性器は完全に勃起している。
もうイキたい。早くイキたい!
深山もわかっていて煽っているのだ。このままでは達せないのがわかっていて。
真綿で首を絞めるかのような深山の嗜虐的さに大知が身を震わせていると、上から声が降ってきた。
「大知、これは良い機会だと思うんだ」
「、っ・・・???」
地を這うようだった冷たい声音ではなく、いつもの深山の声だった。
深山は腰を緩やかに動かし、それでも前立腺だけを狙って突いて時折深く穿ち括れを掠めさせながら大知を穏やかな面持ちで見下ろしていた。
彼は何を言い出そうとしているのだろうかと、大知は快感に喘ぎながらも虚ろな目で見上げた。
すると、
「君の家は会社から遠い。でも ここからなら近いし、そんな電車に毎日乗る必要もない」
「・・・?」
「ここに引っ越して来なよ。僕と一緒に暮らそう」
「────!」
一緒に暮らす?
恋人同士ならば、いずれはそうなるのかもしれない。
しかし、まさか今そんなことを言われるとは思わず、大知は驚いて目を見開き深山を凝視した。
「今日、君に話そうと思っていたことは、このことなんだ」
「・・・」
「一応、君の意見も聞こうと思ってるんだけど・・・どうかな?」
深山の口調は優しい。先程までの暴虐など無かったかのようだ。
しかし、見上げた深山の目は少しも笑ってはいない。
どうかな? などと希望を聞きはするが、彼の中ではすでに決定事項であり、大知の “意見” など深山は聞く気が無いに違いない。いつだって最初から選択肢は用意されていないのだ。了承させ、大知が選び取った答えなのだと思わせたいだけ。
卑怯な手段だが、深山はそれが大知に対して事を進めるために有効かつ効果的な手法だと熟知している。
そして大知はいつも深山の強引なやり方に逆らえない。だけど・・・
「そ、それは・・・」
正直、大知は迷った。
深山による雁字搦めの独占欲。それが嬉しくないとは言わないが、大知の全てを支配しようとする深山の想いは、やや息が詰まる。
出来ることなら もう少し自由でいたい。といっても、別に浮気がしたいとかそういうことではない、断じて。だとしても・・・
大知はすぐに答えが出ず、頷けなかった。
目を泳がし続ける大知に、深山の手がふと伸びてきた。
その手は痛いほど屹立し続けている大知の性器に宛がわれた。
これ以上 射精感を煽られるのは辛すぎる。
触るな、と大知は言おうとしたが、その前に深山の指が性器の括れに引っ掛かっていたペニスプラグのリングを外した。
そして、おもむろに亀頭の割れ目にせり出ている丸い突起を摘んだ。
「────っ」
思わず息を呑む大知に構わず、深山は摘んだプラグの突起を引っ張った。
「!!、ぃ、あああ」
プラグを押止めようとする無意識の力に逆らう摩擦は大知を苛んだ。
更に、押し止められていたカウパー液が尿道口からぐしゅぐしゅと泡を吹くように溢れてくる。
「ああ、あ、ぃや、やだ・・・ぁ」
解放を求める行き場のない欲望。
抜くならさっさと抜いて欲しい。
だが、深山は再びプラグを尿道に押し込んだ。
「ひ、ぃ────っ」
脊髄を駆け上がる電流のような感覚に、ぶるぶると内股が震える。
もう堪えきれず、大知の瞳からは大粒の涙が零れていた。
零れ落ちてくる涙を深山は指で拭いながら、大知に囁いた。
「大知、出来れば、今、返事を聞きたいな」
「っ────!」
「僕と、一緒に、ここで、暮らすよね?」
プラグの突起を摘まれたまま、深山は腰を振るい、嫌が負うにも前立腺を刺激してくる。
その手管はドライに逃げることが出来ない絶妙な加減で、性器を根元から扱く所作も加えられ、射精だけを煽ろうとする。
身を苛み続ける射精感は我慢の限界に達していた。
再びプラグの突起を摘む深山の指先に力が加わったのを感じて、もう大知は必死で首を縦に振っていた。
「わかった、も、う、お前の、言うとおりにする、からぁ・・・っ」
「本当に?」
深山は摘んでいるプラグの突起をぐりぐりと回転させ捻った。
その度に大知が喘ぎ、涙を零し続けるのを深山は涼しい顔で眺めている。
なんてサディストなのだろう。悪魔だ。
それでも大知は深山の非道さを罵るなんて馬鹿な真似はしなかった。誰だって自分の身が可愛い。
必死に頷いている大知を深山は涼しい顔のまま更に追い詰めていく。
「後でやっぱり止めたとか言わない?」
「い、言わな、いっ」
「じゃあ、はっきり言ってくれないか。僕と一緒に暮らすって」
「お、お前と! 一緒に、暮らすっ────!」
そう喚けば、はい良く出来ました、と言わんばかりに大知は口付けられ、深山は亀頭に食い付いていたプラグを引き抜いた。
「ぅあ、────っ」
堰き止められていた精液が勢い良く びゅるるっと溢れ出る。
尿道を一気に駆け上る精液の衝撃による快感は激しく、大知は小さく悲鳴を上げて戦慄き背を仰け反らせた。
「ああ・・・」
最後まで出すように、添えられた深山の手が吐精を促す。
自身の腹を熱く濡らす感覚に大知は眉を顰めたが、射精の気持ち良さは圧倒的で、眩暈がしそうだった。
それにしたって、なんて卑怯なのだろう。
駆け引きなんてものじゃない。これはれっきとした脅迫だ。
でも、脱力する大知を愛おしそうに撫でながら、撒き散らした精液に濡れるのも厭わず己を抱きしめ深く口付けてくる深山に、大知の文句などは どこかに行ってしまった。
もう何を言っても無駄なのだ。逃げ場所なんて何処に行ってもありはしない。
とにもかくにも、視界の端に映る、ベッドから転がり落ちていたペニスプラグに、お願いだからもうあんな妙な玩具を使うのは絶対にやめて欲しい。と大知は切に祈ったのだった。
*
*
結局、その後も延々とセックスは続き、やっぱり大知は次の日の昼まで起きることが出来ない羽目になった。
だが、あんな酷い目にあったにも関わらず、引っ越し云々については そのうちやれば良いだろうと呑気に考えていた。
あの悪夢から一週間後。
その日は何故か深山が有給を取ったとかで会社には出社せず、何かあったのだろうかと大知は訝しく思ったが、仕事で外を回ることに忙殺され、自宅に戻ったら連絡してみれば良いだろうと特に気にもしていなかった。
そうして自宅に着き、玄関のドアを開けた大知は我が目を疑った。
部屋はガランともぬけの殻で、そこには何も無かったからだ。
「!?!?!??!??!」
間違って違う部屋に来たのかと思ったが、自宅の鍵で開けたドアでそんなことは有り得ない。
とにかく、もともとそんなに物は無かったとはいえ、家具も何もかもが ことごとく消え失せているのだ。
「な、なんだこれ・・・」
空き巣? だとしても、こんな根こそぎ強奪していくか!?
その時、スーツの胸ポケットに入れてあるスマートフォンが鳴った。
我に返って着信に出れば、深山からの電話だった。
いてもたってもいられず、大知は深山にこの状況を話そうとした。
だが、先に深山が話し出した。
それはもう穏やかに。
「大知? もう自宅に着いたかい?」
「深山!!! あ、お、俺の部屋の荷物が・・・っっ」
「ああ、今日、僕の空いている部屋に運んだんだよ。それと、僕の家にあってダブる家電や家具は貸倉庫に持って行ったから、どうするかは後で君が決めてくれるかい?」
「は!? え?? なに???」
「約束しただろう? 一緒に暮らすって」
「へ・・・」
どうせそのうちやればいい と、大知が引っ越しを後回しにして同棲は先延ばしにしようとしていることなど、深山はとうにお見通しだった。
だから、さっさと、鮮やかに、実力行使に出たわけだ。
それにしたって、これは少々どころか、とんでもなく仕事が早過ぎやしないだろうか?
深山の有能さはこんなところにも遺憾なく発揮されている。
あまりに力業な展開で、大知はスマートフォンを落っことしそうになった。
あわあわと口を開け閉めして呆然としている大知のことなど、電話の向こうでとっくに想像は付いているだろうが、彼は全く意に介さず、
「大知、今日から一緒に暮らそう」
「・・・・・・今日から?」
「そう。今日から」
勝手に何してんだ!!!! と、喚く気力はどこか遠くの彼方まで消し飛んで。
大知は何も無い自宅の部屋の真ん中で、へなへなとヘタり込んだのだった。
次の話に続くのですが、こんな妙なシーンばかりなのは大丈夫じゃない気がしています。
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