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地区大会
「それでは、地区大会 男子100m決勝です。」
「選手の紹介です。」
[さぁ、インターハイへの出場は上位6着までの選手だ!]
[ここで決まります、、、!]
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僕は地区大会で予選を敵なしで通過し、
準決勝まで進んだ。それで、
準決勝は2着で勝利し、決勝まで進んだ。
それで、上位4着で全国大会に出場できるようになった。
地区大会の決勝はとても厳しい戦いだった。
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第1レーン 明久 ゴロウ
第2レーン 九重 アザミ
第3レーン "雨宮 ヒトミ"
第4レーン "足立勝"
第5レーン "柏木マサムネ"
第6レーン "佐藤瞬"
第7レーン "浅倉カナタ"
第8レーン 多田ノリオ
「以上、8名の出場です。」
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On your marks
いつもとは違う沈黙。
今回は少し風の音が聞こえる。
さわやかな音だ。
嵐の前の静けさのような。
なにかが起こるような気がした。
set
僕は中学の時に教えてもらったこと、
高校生活で教えてもらったことを思い出した。
パァァン
周りが見えない。
独走しているわけじゃない。
どちらかというと最後の方の順位だ。
でも、見えない。
見ようとしてない。
僕は今前しか見ていない。
前しか見ちゃだめだ。
他を見ると力んでしまう。
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何かが起こった。
起こってしまった。
僕は、自分を追い越していく選手を見てしまった。
その瞬間、絶望と危機感が全身を駆け巡った。
そして、思い出してしまった。
足の怪我を。
複雑骨折した足の傷がうずく。
痛い。
痛い。
けど、目標があるから、、、。
超えないといけないんだ、、、、!
全国大会に、、、出なくちゃいけないんだ、、、!!
僕は加速し、7着と6着を追い抜き、
5着と並走しながら、追い抜き、
4着は途中で失速し、追い抜くことができた。
そして、4着でフィニッシュした。
パァァン!!!!!
「佐藤瞬が4着で、インターハイへ出場です!!!!!!」
瞬「や、、、やったぁ、、、!!!」
今までにないほど静かで儚い試合だったと思う。
そんな一昨日の地区大会を思い出していた今日は。
全国大会当日だ。
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