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煤に塗れた兄弟を保護したのは現場に駆け付けた消防士のひとりだった。二人は呆けたような顔をして燃え盛る家を眺めていたという。弟は真っ赤な顔で目を擦っていた。
「キミたち、大丈夫か? ひょっとしてこの家の子?」
消防士に声をかけられ「うん」と兄の方が首を縦に振る。
「家の中にまだご家族は?!」
「はい……母さんが……」
兄は声を詰まらせる。そしてこう続けた。
「酔いつぶれて寝ちゃってたから、何度起こしてもなかなか起きなくて……。それで……」
やがて火は消し止められ、焼け跡からは二人の母親が見つかった。
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