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「そうですよね。秋津さんや宮嶋さんには
何て聞いてますか」
「宮嶋はちょっとそういう出逢いが激しい子と
言ってた。秋津くんからはない」
「宮嶋さんの言葉は正しいです。初体験は
16歳、今までの経験人数は18人、連絡が
つくセフレは4人で、頻度は月に1度ですね」
「頻度は月に1度?」
意外と少ないと思った。
俺の反応に気づいたのか、彼は苦笑いした。
「満月の夜、無性にしたくなります」
「えっ」
「今夜ですよ‥‥だから準備して、セフレに
会いに行こうかと」
「あ、ごめん。邪魔したね」
そう言って慌てて立ちあがろうとしたら、
彼は俺の手を掴み、冗談ですと笑った。
「セフレとはもう連絡を断ちました‥‥、
もう、川瀬さんとしかしたくないので」
本当ですよ、と言葉を続けた彼を
俺はそっと抱きしめた。
「その感情は、心配だけですか」
彼に耳元で囁かれ、違うと答えた。
「岸野くん。キミが好きだ」
「川瀬さん‥‥僕も。僕も、好きです」
ああ、堕ちていく。
彼と長く深いキスを繰り返しながら、
俺は覚悟を決めた。
絶対に、彼との恋を守り通す。
たとえ誰かの知るところになり、
生活の基盤を失うことになったとしても。
彼と一緒なら怖くはなかった。
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