後編

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ベッドに撒かれた数枚の千円札を拾い、 僕は静かに涙を流した。 もっと優しくて、 僕だけをまっすぐ見つめてくれる人に 出逢いたいのに。 自分の性欲に負けて、 また後悔する羽目に陥っている。 ああ‥‥外見なんてどうでもいいから、 とことん甘えさせてくれて、 ホッとできる人、いないかな‥‥ 身支度を整え、トートバッグを肩にかけると ラブホを後にした。 「だからさ、岸野。自分を安売りするなって」 「じっくり見定めて。岸野を大切にしてくれる 人は必ずいるからさ」 大学の先輩の秋津さんと秋津さんの彼氏の 宮嶋さんは、そう優しく僕を諭してくるが、 好きでこんなことをしている訳じゃない。 僅かに眉を顰め、不快な気持ちを表したが 彼らには伝わらずその後も助言という名の お節介が展開される。
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