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「葵、ただいまー」
「由貴、おかえり。お仕事お疲れ様」
1時半。
今夜は川瀬の部屋での逢瀬だ。
22時にバイトを時間通り終わらせ、
川瀬の自宅近くの0時まで営業している
スーパーに駆け込み、食材を買った。
合鍵を使って中に入り、
手早くチキンの照り焼きと温野菜サラダを
作ると、急いで部屋を片付けた。
恋人とはいえ、自分がいない時に
物を触られたくない人がいると聞くが、
川瀬はその辺りは無頓着のようで
片付けは大歓迎だと喜んでくれる。
玄関先で川瀬と抱き合い、
何度も濃厚なキスを済ませた後。
川瀬は僕の髪を優しく撫でながら、
「あ。何かいい匂いがする。照り焼き?」
と言った。
「当たり。みりんを使い切りたくて」
「いつもありがとう、葵は料理上手だもんな。
手を洗って着替えてくるから、食べさせて」
「はーい、テーブルに用意しておくね」
洗面所に消える川瀬を見送り、
僕はキッチンに急いだ。
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