後編

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激しくドアを叩く音で目が覚めた。 慌てて起き上がり、音のする玄関に 足を進ませた。 「開けなさいよ!いるんでしょうッ?!」 ドアの向こうから女言葉を使う男の叫び声。 怖くなり、後退りすると、 まるでこちらの様子が見えるような 口ぶりで罵られた。 「さっさと開けなさい、この意気地なしっ!」 これ以上騒がれると、近所も騒ぎ出す。 仕方なくチェーンを外し、ドアを開けた。 「あんた、許さないわよ」 ドア越しに鋭い目つきの大男と目が合った。 「ひっ」 部屋に逃げた僕をあっさり羽交締めにし、 引き倒した男は、僕に馬乗りになり、 僕の首筋にカッターを突きつけながら、 荒い息を吐いた。 「パンツ脱ぎなさい。掘ってやるから」 「い、意味がわかりません‥‥!」 こいつ、誰なんだよ。 「クズクズしないのっ!川瀬くんとは ナマでSEXしたんでしょ?許せないわッ」 ああ、やっぱり。川瀬のファンか。 ズボンのベルトを片手で外され、 男が僕のズボンに手をかけてきた。 僕が経験豊富だからって、 準備もなしに突っ込まれるのは有り得ない。 僕は膝を固く閉じ、必死で抵抗した。 そう言えば、今夜は満月だったなどとは 考える余裕もなかった。
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