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「へえ‥‥男漁りが激しい大学生くんねえ」
「そうなんですよ。まああまり珍しくは
ないですけどね」
後日、宮嶋からその子が来る日を聞いた
ところ、やはり俺の休みだったため、
シフト調整することを佐橋に伝えたのだ。
「それにしても、川瀬はずいぶん従業員に
頼られるようになったな」
「はい。正社員になって3年経ちますし。
彼らが困らないよう、あくまでも自然に。
兄さん役に徹することは板についた気が
します」
「うんうん」
佐橋は満足気に微笑むと、
川瀬の給料、上げてやりたいなあと
言葉を続けた。
「あはは、ぜひお願いします」
店に戻り、ロッカー室で制服に着替えた。
髪をセットしながら、鏡に映る自分の顔を
ぼんやり眺める。
何だか老けた‥‥
まだ25歳になったばかりだというのに、
表情に疲れが出ていた。
頬を撫で、息を吐いた。
それでも頑張り続けなければ。
疲れただなんて言っていられない。
癒やしてくれる恋人はずっといなかった。
やや振り回し系でもいいから、
俺好みのかわいい子、いないかなあ。
「川瀬さん、お店忙しいです。早く出勤を」
入ってきたバイトの吉川に声をかけられ、
慌ててロッカーを閉めた。
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