16人が本棚に入れています
本棚に追加
「いらっしゃいませ」
「川瀬さん、こんばんは」
宮嶋の彼氏の秋津が微笑んだ。
「ほら、岸野。ご挨拶しろよ」
秋津の背中に隠れて、姿が見えない。
俺は一歩近づき、満面の笑みで声をかけた。
「初めまして。お越しいただきまして、
ありがとうございます」
「あ、」
秋津の背中越し、力強く目が合った。
つぶらな瞳、サラサラでまっすぐな黒髪。
俺と身長が変わらない秋津の背に
隠れてしまっていたのは、
小柄で華奢な背格好だったからだ。
そして儚さと優雅さを纏うオーラ。
小さく肉厚な唇と目の下の泣きぼくろが
色っぽく映った。
(ヤバい‥‥かわいすぎる)
これは想定外だ。
彼に対し強烈な一目惚れを自覚しながら、
男漁りが激しい大学生とはまるで思えない
ギャップの差に俺は戸惑った。
最初のコメントを投稿しよう!