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コマンドに対する嫌悪感。Subを従えることが怖いと一希が告げた時、省吾は一希にコマンドをさせたSubの講師をどれだけ恨んだか。
それがこんな穏やかな表情を見せてくれるようになるなんて。省吾は自分がSubであったことをこの日ほど喜んだことはなかった。
番号を呼ばれ、カウンターに婚姻届を提示する。職員が書類に不備がないかを確認する間も、どことなく落ち着かない一希の背中を省吾はそっと宥めるように撫でた。
「パートナー契約は済まされていますか?」
「はい」
「では、こちら確かに受け取りました。一週間ほどで婚姻届け受理の通知が郵便で届くと思いますので、ご確認下さい」
同時に頷いた二人に、ふふと職員が笑顔を見せる。「末永くお幸せに」という職員の言葉に二人は顔を見合わせ、お礼を言ってその場を後にした。
「一希、ドラッグストア寄るわ」
「うん。何か足りないものあった?」
きょとんとしながら一希が問えば、省吾はいつものニヤリとした笑みを浮かべる。
「ああ、ゴムとローションな」
ご褒美楽しみだなぁ、と耳元で囁かれ、固まった一希は顔だけでなく首まで赤くした。
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