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第7話 ニュース
朝から大学構内はざわついていた。
3年生の野崎信也が昨夜河川敷で殺害されているのが見つかったからだ。
所持品が奪われており、強盗殺人の疑いもあるとニュースで報じられていた。
大学の方にも警察が事情を聞きに来ているようで、門の周りにはマスコミらしき人達が登校する生徒にインタビューをしていた。
「野崎信也って、怜奈知ってる人だよね?」
友人の桂木亜衣がスマホでニュースサイトに掲載された野崎信也の写真を見せてきた。
大学に入学して最初に入ったサークルで、怜奈は1つ上の片桐直哉という彼氏ができた。
半年も付き合わないうちに別れてしまったが、野崎信也はその直哉の仲の良い友人だった。
知っていると言っても数回話をしたことがあるくらいで、どんな人かはよくわからない。
ただ、怜奈のことをよくニヤニヤしながら見ていたので、あまり良いイメージはなかった。
「知ってるって言ってもあいさつ程度にしか話したことないから」
「そーなんだ」
どんな理由であれ、殺人など犯す人間の気持ちなど、ましてや人を殺してまで金品を奪うなど、怜奈には想像すらできなかった。
「自分の身近で殺人とか怖いよね」
亜衣はそう言いながらスマホをしまった。
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