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「これ、わたしの作ったとっておきのスープなの」
「だからどうした」
「食べたいでしょう?」
「前から言っているがオレは腹の空かない体質なんだ」
「知っているのよ。あなたが夜中にコソコソと食糧庫をあさっているの」
「あそこは寝床に最適なだけだ」
「下手な嘘はつかないで。食糧庫のものの中に一度でも毒が入っていたかしら」
「さあ。今のところオレの体に異変はないが」
「それなら一度くらい食べてみてよ。いつも二人分を一人きりで食べるわたしを可哀想だとは思わないの?」
「……なあ、どうしておまえはオレを殺さない」
「ずいぶんと不気味な質問をするのね」
「気づいていないとでも思ったか。オレはおまえのターゲットなんだろう?」
「あら、あなたこそわたしの命を狙っているのよね?」
「どうだかな」
「あなたの手口は知っているのよ。心からのキッスを相手に送ること、そうでしょう?」
「オレだっておまえのやり方くらい把握済みさ。おいしそうな料理を見せて誘惑し、その中の毒で殺る。違うか?」
「先ほどなぜ殺さないのか訊いたわね。あなたはわたしに殺されたいの?」
「殺すよりかはマシかもな」
「それならこのスープを飲んだらどう? 毒が入っていると疑っているのでしょう?」
「だが万が一入っていなかったとしたら?」
「わたしの完璧な料理を毒なしで食べるのだもの。きっとわたしを本気で愛してしまうでしょうね」
「ああ。そうに違いない」
お腹が空腹を訴え音を鳴らす。
「冷めないうちに召し上がれ?」
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