スプリングストロベリーアイスクリーム

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美耶子の卒業アルバムに、椿は「三年間ありがとう。高校でもよろしく」と、書いていただけだった。美耶子は、椿くんにとって私はそんな存在なんだ、と単純に受け取った。三年の間にそれなりに会話もしていたし、周りからはもういい加減に付き合えば、と言われることもあった。けれど、美耶子にはピンとこなくて、その関係性は変わることが無かった。それがさすがに四年目になる。そうなると、美耶子に思うところが出てきた。 ――私って、椿くんのことどう思ってるんだろう? そんなことを考えている内に入学式は終わって、近くの席の初対面の女子と挨拶をして、ホームルームが終わって、解散になる。 帰りの電車で美耶子は椿が同じホームに居るのを見かけて、話しかけに行った。制服が変わっただけで、いつもの椿だ。他愛のない会話をしていると、プラットホームに銀色の車体が滑り込む。停車して、まばらな降車客が降りて、二人は同じシートの隣同士に座った。こんなこともあと三年間か、と美耶子は思う。今度はきっと、長いようで短いんだろうな、とも。
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