スプリングストロベリーアイスクリーム

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車窓の景色は、灰色と緑色と水色を飛ばしていく。光だけが乗車客の表情を変えていた。ふと、美耶子と椿の目が合う。お互いに一瞬目を逸らしたが、椿は美耶子に訊いた。 「朝霧、今日入学式だし、せっかくだからどこか寄らない?」 「寄りたいけど、私、あんまりお金ないからなあ」 「俺が言ったんだから、俺が奢るだろ。どこ行きたい?」 「本当に?嬉しいけど、なんで?」 「いいから言え」 二人が降りる駅まで、あと三駅だった。美耶子が駅前のアイスクリームショップに行きたいと言ったので、椿はスマホで検索した。二人でフレーバーを選ぶ。美耶子が春限定のストロベリー味を食べたいと無邪気に喜んでいると、椿は言った。 「バイト代入ったら、もっと好きなもの選べるから」
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