時計じかけの愛

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時計じかけの愛

ぜんまい仕掛けのからくり時計 正時になると文字盤下の扉が開く 左手からは男の子、右手からは女の子 カタカタ歩いて二人は出会う 刻の数だけベルが鳴り 刻の数だけ口づけを ベルの音が鳴り止むと 二人は回れ右をして元の扉に戻って行く 時計の針が正時を指せば 二人は何度も再会し 刻の数だけキスをする キスが終われば離ればなれ 時計とともに時は流れ いつしかぜんまい巻き切れた 時計は動きを停止した くちびるを重ねたまま二人は静かに時を止めた ベルの音はもう鳴らない 永遠(とわ)に二人を閉じ込めた
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