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蒼真は、獣医師の宮原と共に、イルカプールのモニターを見つめていた。
他にも数名のスタッフが、プールの底まで見られる水族館1階・アクリル面前に陣取っている。
目視による観察も、大切なのだ。
緊張と祈りが、スタッフ全員の胸にあった。
どうか、無事に。
ミコちゃんが、出産できますように。
元気な赤ちゃんが、生まれますように。
そんな中、宮原が蒼真に話しかけた。
「澤さん。こんなに早く戻って来ても、良かったんですか?」
「食事はしたし、シャワーも浴びました。大丈夫ですよ」
「休憩は、午前0時まででしょう。末緒くん、寂しくないんですかね?」
「もう新婚じゃないんだし、彼も私の仕事に理解を示してくれてます」
新婚ではないが、私が末緒を大切に思う気持ちは変わらない。
だからこそ、わざわざ自宅へ帰って食事をしたり、シャワーを浴びたりしたのだ。
そう、蒼真は宮原に語った。
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