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―――翌朝
リビングで朝ごはんを食べていると由希奈さんが起きてきた。
「おはよ」
何の感情も感じられない冷たい挨拶に、ほんの小声で挨拶を返す。さらに苦手意識からか、さっと目線をそらしてしまう。そんな自分に嫌気がさし、逃げるように学校に向かった。
登校後、とくにトラブルを起こすことなく学校生活を終え、部活へと向かう。
「やる気あんのか!!!!」
顧問の怒りの矛先は私である。パス練中あまりにも私がボールをあちこちへ飛ばしてしまっていた。
ペアの唯に何度も「ごめん」と誤っている自分が情けなくなって、なんとなく自嘲的に笑っていたところをちょうど顧問に見られてしまったのだろう。
堪忍袋の緒が切れたと言わんばかりに顧問が怒鳴る。その説教の様子を女バスの部員だけでなく、隣で練習する男バスの部員たちにも見られている。
恥ずかしい。
怒られているだけで恥ずかしいのに、理由がしょうもない上に情けなくてさらに恥ずかしい。泣きそうになりながら、その場を耐え忍んだ。
そのあとの練習は怒られはしなかったが、公開説教の余韻で自分がその場にいることすら恥ずかしくなって、ずっと逃げ出したかった。
やっとの思いで帰路に就く。
帰り道、ただでさえ落ち込む私に追い打ちをかけるような2-2-1隊列の1の役回り。
まあ、今日は気分が落ち込んでいるから人と話さないほうがいいかと考え事をしていた。
すると、靴紐がほどけていることに気づいたので、しゃがんで結びなおす。
靴紐を結び終えて、顔をあげ立ち上がると――
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