裏切られた人生に

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「アベラルド?どうしてお前が騎士団を連れてここにいる?それにお前は何を言ってるんだ?俺が魔物を操る主犯格だと?」   ラウルはいきなり現れた男に驚きを隠せず、アベラルドに詰めよろうとしたがその腕をスペンサーに強く掴まれた。 「ダメですラウルさん!これは罠です!行けばあの人に殺されますよ!」 「殺す?俺が、ラウルを?まさか!殺す訳ないだろう」    そう告げたアベラルドはラウルを見つめて妖しく笑っていた。  (このままでは埒が開かない。きっと何か誤解が生じてるんだ)  そう思ったラウルは、 「アベラルド?もしかして俺がさっき召喚したアンデッドのことを言っているのか?皆んな俺が闇魔法を得意としているのは知っているだろう?今更何をいいだすんだ。」  そう言い終えると、騎士団の一人が声を上げた。  「アベラルド皇子に不敬だ!口を慎め! 先月から貴様が砂漠で魔物を操り、砂漠の民を虐げていたことはもう判明している!貴様の家からも砂漠の財宝が発見された!言い逃れできると思うな!」 (どういうことだ?なぜ俺の家に財宝が?本当に誰かが俺を嵌めようとしているのか?) 「待ってくれ!まず俺は砂漠に行く時間なんてない!今日も王都から6時間かけて砂漠まで来たんだぞ!宮廷魔法師をしていて一体どこにそんな時間があるっていうんだ!」  ラウルの言葉を聞いた騎士は鼻を鳴らして言った。 「先日貴様が転移魔法で城の近くに出現したのを何人もの兵士が目撃している。転移魔法を使える貴様なら時間なんか関係ないようなものだろう。もう認めたらどうだ?」 (あの時の転移魔法誰かにみられていたのか。本当にタイミングが悪すぎる。どうせ転移魔法にも制限があるって言っても信じてもらえないだろうな)  ラウルが必死に状況を打破する方法を考えていると、いつの間にか目の前にスペンサーが立っておりアベラルドや騎士団と向かい合っていた。 「ラウルさんはそんなことをする人じゃありません!誰かがラウルさんに濡れ衣を着せようとしています!それに目撃された転移魔法も僕と一緒にいるときに使ったもので今回の件とは関係がありません!」  そうスペンサーが言い終えたとき、多くの足音が遺跡内に響き渡った。 そのまま足音が近づいてくる方を全員が見ると、1000体以上のアンデッドがそこにはいた。 「貴様!!アンデッドを召喚して俺たちを殺し逃げる気だな!」 「違う!俺じゃない!俺はこの遺跡で魔法が使えないんだ!」 「誰がそんな冗談信じるんだ!現にそのアンデッドは俺たちしか襲わないじゃないか!くそっ! アベラルド皇子早く逃げてください!! 皇子?・・・・・・・・皇子!どこですか??」    遺跡内でラウルだけを避け多くのアンデッドが騎士団たちを殺していくなか、アベラルドと前にいたはずのスペンサーの姿が見えなかった。   ♦︎ (なんで俺だけ攻撃しないんだ?俺が闇魔法を使うから?アンデッドが現れてどれくらい経った?数が多いせいで遺跡からも出られないし状況もわからない。アベラルドとスペンサーは無事なのか)   ラウドが周囲を見渡したそのとき、アンデッドが一瞬で消滅した。残っていたのは噛みちぎられて死んでいる兵士だけだった。 (誰も生きていないのか?スペンサーとアベラルドは?)   ラウルがスペンサーとアベラルドを探そうとしたそのとき、カチッと音がしラウドの首には何かが嵌っていた。  「え?」 「はぁ長かった。これでお前を俺のものにできる」 「・・・・・・・・アベラルド?お前は無事だったんだな。首のこれはなんだ?それにスペンサーはどこだ?」 「首のそれはあとで教える。それとあの駄犬はそこに転がってるぞ」    アベラルドが指を刺したその先には、血だらけの動かないスペンサーがいた。  「・・・・・・・・え?嘘だろ?スペンサー?まさかそんな、死んでないよな? なんでなんだ・・・・・・・・なんでっ・・・・ 待て・・・・・・・・なんでスペンサーの背中にお前の剣が刺さってるんだ。まさかお前が殺したのか・・・・・・」 「確かに殺したのは俺だが、そんなに睨むな。綺麗な顔が台無しじゃないか。」  アベラルドは涙で濡れたラウドの顔にそっと触れたが、ラウルはその手を叩き落とした。 「触るな!!なんで殺したんだ!!スペンサーが何したって言うんだよ!」   「はぁ。あんな駄犬くらいどうでもいいだろ。俺の物に手を出そうとしたんだから殺されて当然だ」 「駄犬だなんていうな!それと俺はお前のものになった覚えはないっ!!! アベラルド・・・・・・・・俺はお前を唯一の親友だと思っていた・・・・だがもう違う。もういい。俺はスペンサーと共にこの国を出ていく」  ラウルがそう言ってスペンサーの元まで行こうとしたとき、突然目の前が真っ暗になった。 「・・・・・・・・やっとここまできたんだ。逃がす訳がないだろ」
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