◆好きです!

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ある日のこと。 春の穏やかな風が吹き抜ける、3月中旬。 桜の蕾も膨らみ始め、あと数日登校したら春休みという頃。 【昼休み、中庭に来てください。】 そう書かれた差出人不明の1枚の紙切れが今朝、私の下駄箱に入っていた。 誰からだろうと思いつつ、昼食後に中庭に来てみたら…… 「……え?」 中庭のベンチに座っていた人を見て、私は目を丸くした。 おっ、王子様だーー! 近くで見ると、かっこいい! 日当たりの良いベンチに座って、日向ぼっこでもしているのだろうか? 私を呼び出した人って、まさか……王子様じゃないよね? って、ないない。それは、絶対にない。 そう思い、王子様の前を急いで通り過ぎようとしたとき。 ──ガシッ! 私は彼に、思いきり腕を掴まれてしまった。
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