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暗闇
百均についた私は店内を颯爽と歩いた。
『衛生』と書いてある札が見える。そこで曲がり、タオルと軍手を購入した。
「穂波?」
後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。そこには幼稚園の頃から同じの昭輝ちゃんがいた。
「...ぁあ、昭輝ちゃん」
「こんな時間にどうしたの?またおばあちゃんに買い出し頼まれたの?」
そう言って笑う昭輝ちゃん。
勿論、目的を言える訳もなく、
「うん!そうだよ!」
と元気に答えたが口角があがらない。
「凄いなぁ、穂波わ」
ニコリと笑う昭輝ちゃんの笑顔が真っ黒の私の心に対して眩しい。
ふと壁にかかる時計を見るともう既に5分が経過していた。莉愛が出てくる。
「ごめん昭輝ちゃん。私行かないと!」
そう言うと振り返らず店内を風のように走り抜けた。
「間に合った...!」
息が上がる私の目の前を呑気そうな顔をした莉愛が通過する。私はそれの後をつけた。
暗闇に紛れられるから、この時間に会えたことが幸運だったような...。
しばらくすると莉愛は大通りの途中にある角を左に曲がった。
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