第一章 同期と勢いで結婚しました

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「なにを言う。 純華は可愛いって言ってるだろ」 レンズの向こうから彼がじっと私を見据える。 その真剣な目にたじろいだ。 「だから。 私は可愛くないって」 なんとなく気まずくなって目を逸らし、お酒を一口飲む。 心臓がばくばくと速く鼓動している。 もう三杯目に入っているし、そろそろやめる頃合い。 「純華は可愛い。 俺は純華の知らない、純華の可愛いところをいっぱい知っているから、心配しなくていい」 矢崎くんの手が伸びてきて、私の手を掴む。 「だから、安心して俺と結婚しろ」 冗談だと思いたい。 しかし、眼鏡の奥の目はどこまでも真剣だ。 矢崎くんが私と結婚したい? ありえない現実が襲ってきて、さっきから頭は混乱しっぱなしだ。 そんな私を、もうひとりの私が焚きつける。 この機会を逃したら、もう一生結婚できないぞ、と。 「ああもうっ!」 決心を固めるように、まだ半分以上残っているレモン酎ハイを一気に飲み干す。 空になったグラスを、ダン!と勢いよくテーブルに叩きつけた。 「わかった。 矢崎くんと結婚する」
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