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「なにを言う。
純華は可愛いって言ってるだろ」
レンズの向こうから彼がじっと私を見据える。
その真剣な目にたじろいだ。
「だから。
私は可愛くないって」
なんとなく気まずくなって目を逸らし、お酒を一口飲む。
心臓がばくばくと速く鼓動している。
もう三杯目に入っているし、そろそろやめる頃合い。
「純華は可愛い。
俺は純華の知らない、純華の可愛いところをいっぱい知っているから、心配しなくていい」
矢崎くんの手が伸びてきて、私の手を掴む。
「だから、安心して俺と結婚しろ」
冗談だと思いたい。
しかし、眼鏡の奥の目はどこまでも真剣だ。
矢崎くんが私と結婚したい?
ありえない現実が襲ってきて、さっきから頭は混乱しっぱなしだ。
そんな私を、もうひとりの私が焚きつける。
この機会を逃したら、もう一生結婚できないぞ、と。
「ああもうっ!」
決心を固めるように、まだ半分以上残っているレモン酎ハイを一気に飲み干す。
空になったグラスを、ダン!と勢いよくテーブルに叩きつけた。
「わかった。
矢崎くんと結婚する」
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