第一章 同期と勢いで結婚しました

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彼が指した先にはコンビニがあり、ほっとした。 急場しのぎの化粧品や下着一式をかごに入れる。 「飲み物も買っとけよ。 うち、水しかないし」 「りょーかーい」 水しかないとは、いかにも男の一人暮らしって感じでちょっと笑ってしまった。 さりげなく、矢崎くんがかごに小箱を入れてきたけれど、なんだろうね、これ。 少し悩んで二リットルの麦茶を足す。 飲みきれなかったら矢崎くんが飲めばいいし、問題ないだろう。 「なあ。 アイス食べたくない?」 「食べたーい!」 飲んだあとにアイスが食べたくなるのはセオリーなわけで。 今度はふたり仲良く並んでアイスのショーケースを眺める。 「あ、ダッツの新作出てる」 「じゃあそれにしようぜ」 さっさと矢崎くんは新作二種、かごに入れてしまった。 「これでOK?」 「OK」 返事を聞き、私からかごを取って彼はレジへ向かった。 「え、自分で払うよ」 「いいから。 夫婦になったんだし」 私を制し、矢崎くんは携帯を準備している。 「いや、でも」
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