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「いいって言ってんだろ」
私たちの言いあいを気にとめることなく、店員は商品のバーコードを通していく。
「だか、ら……!」
〝それ〟のバーコードが通され、液晶に商品名が表示されたのを見た途端、固まった。
え、これってこんなに堂々と買うもんなんですか?
などと思っているのは、私が未経験だからなんだろうか。
いや、でも、男女ふたりで一緒に買うなんて、いかにも〝今からヤります!〟って感じじゃない?
でも、矢崎くんも普通だし、店員さんも平然としているし、これが当たり前なのかな……?
私が動揺してフリーズしているあいだに、矢崎くんは支払いを済ませ、レジ袋にものを詰めてもらって持った。
「ほら、いくぞ」
「えっ、あっ、……そう、だね」
声をかけられて我に返る。
そうか、夫婦になったんだから、そういうことをするのか。
右手に鞄と荷物を持ち、左手で私の手を引いて矢崎くんは歩いていく。
どんな顔をしていいのかわからなくて、ただ俯いて歩いた。
彼はビルの中を進んでいき、エレベータの前で足を止めた。
「えっと……」
「俺んち、この上なの」
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