第一章 同期と勢いで結婚しました

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「……ハイ?」 理解が追いつかず、首が斜めに倒れる。 この上とは、このビルに住んでいるってことですか……? 「えっ、あっ!? いやいやいやいや」 「なにがいやいやなんだよ」 エレベータに乗り、私の態度に彼は不満そうだが、仕方ない。 いくらうちがそれなりの大企業でも、二十代の若き課長が都心の一等地に建つタワマンに住めるほど、給料を出しているわけではない。 ……せめて、低層階で。 それならまだ、現実味がある。 しかし、エレベータはぐいぐい上っていき、最上階で止まった。 「ようこそ、我が家へ」 「あっ、えっと。 ……お邪魔、します」 矢崎くんはなんでもないように部屋に入れてくれたが、本当にここに住んでいるの? 通されたリビングは、驚くほど広かった。 眼下には地上の光が星のように広がる。 「ねえ」 「なに?」 勧められてアイボリーのソファーに座る。 革張りのそれは、座り心地が最高だった。 「家賃、どうしてるの?」 不躾ながらつい、聞いてしまう。 「んー、投資とかそんなので稼いでる」
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