第一章 同期と勢いで結婚しました

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「あとで洗濯機……って、スーツを洗濯機にかけたらヤバいよな。 夜間ってクリーニングできたっけ……?」 「ねえ」 携帯でなにやら調べ出した彼を止める。 「これくらい大丈夫だから。 それより、確認したいんだけど」 これは私にとって、重要問題なのだ。 場合によっては即離婚もありうる。 「矢崎くんが会長の孫って本当?」 私の聞き間違いであってくれと、願いながら彼の返事を待つ。 その僅かな時間が私には永遠に感じられるほど長かった。 「本当だけど?」 しかし、矢崎くんは私の期待を裏切り、あっさりと肯定してきた。 「でもさ」 無駄だとわかっていながら、それでも最後の望みにかける。 「会長と名字、違うよね?」 「ああ。 母方の祖父になるんだ。 それで」 その答えを聞いて、少しだけほっとした。 矢崎くんの父親はあの男ではない。 それには救われたけれど彼がアイツの血縁者なのは違いなく、複雑な気持ちだった。 「なんで、会長の孫で後継者だって隠してるの?」 知っていればこんなことにならなかった。
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