第一章 同期と勢いで結婚しました

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アイスも食べ終わり、矢崎くんは私を先にお風呂に入らせてくれた。 「矢崎くんが会長の孫……」 酔いもすっかり醒め、ここに来たときの高揚感はすでにない。 それよりも彼と勢いで結婚してしまった後悔が押し寄せていた。 「どーしよう……」 鏑木社長は私の家族を離散に追い込んだ人物だ。 なぜそんな人間の一族の経営する会社に入ったのかって、弱みを握って潰してやるつもりだったのだ。 しかし会社自体はホワイトで、居心地がよくて弱みを握るどころか発展に貢献しているくらいだ。 どうも、人でなしは鏑木親子くらいらしく、グループ内でもガン扱いされていた。 しかし矢崎くんはそんな人間の甥なのだ。 彼はアイツとは違うし、彼自身アイツを毛嫌いしているみたいなのはよかったが、それでも感情では割り切れない。 「ああーっ……」 ずるずると浴槽に沈んでいく。 なんで私は矢崎くんと結婚してしまったんだろう? いくら結婚マウントを取られてくさくさしていたからって、早まりすぎでは? ほんの一時間ほど前の私を、叱りつけたい自分だ。 「ううーっ……」
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