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うだうだしていたせいで長湯してしまい、のぼせそうだ。
そろそろ上がろう。
「お先、ありがとー」
「じゃあ俺も入ってくるかな」
私と入れ違いで矢崎くんがリビングを出ていく。
だらしなくソファーにごろんと寝転んだら、テーブルの下に置いてあったレジ袋が目に入った。
すでにしまってあるようだったが、あんなものを買うほど矢崎くんは楽しみにしていたのだ。
けれど今の私にそんな気分はどこにもない。
ただ、彼と結婚してしまった後悔だけが私を支配していた。
「あーうー」
「どうした?」
ソファーの上をごろごろと転がりながら悶えていたら、矢崎くんがお風呂から上がってきた。
「な、なんでもない」
笑って誤魔化し、起き上がる。
彼に、私の事情を知られたくない。
「もしかして、今からのこと考えてた?」
冷蔵庫から水のペットボトルを出してきて、隣に座った彼がにやりと笑う。
「あ、いや。
全然」
そうだ、そっちも大問題なんだった。
矢崎くんに迫られたらどうしよう。
「なら、いいが」
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