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「ん?
ああ。
俺は味噌汁作って鮭焼いただけだけどな。
あとは家政婦さんの作り置き」
「……そうなんだ」
照れたように人差し指で矢崎くんが頬を掻く。
そんな彼の口からさらりと〝家政婦〟なんて出てきて、やはり私とは住む世界の違う人なのだと実感した。
「なに変な顔してるんだよ。
料理はできるぞ、一応。
でも、忙しいから家政婦さんに作り置きをお願いしているだけで」
私の反応が不満なのか、不機嫌そうに彼はご飯を口に運んだ。
「あ、いや、家政婦さんが狡いとか思ってるわけじゃないよ」
慌てて笑って取り繕う。
「それに私の朝ごはん、いつもシリアルだけだしさ。
それに比べたらお味噌汁作って鮭焼くだけでも偉いよ」
「やった、純華に褒められた」
機嫌は直ったのか、嬉しそうに口元を緩ませて矢崎くんはお味噌汁を一口飲んだ。
そういう素直で純粋なところ、もうすっかり拗れてしまった私から見れば凄く眩しかった。
「明日の土曜は仕事だっけ?」
「そう」
食事をしながらさりげなく矢崎くんが聞いてくる。
「日曜は?」
「場合によっては仕事」
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