第二章 それまでは夫婦でいさせて

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「ん? ああ。 俺は味噌汁作って鮭焼いただけだけどな。 あとは家政婦さんの作り置き」 「……そうなんだ」 照れたように人差し指で矢崎くんが頬を掻く。 そんな彼の口からさらりと〝家政婦〟なんて出てきて、やはり私とは住む世界の違う人なのだと実感した。 「なに変な顔してるんだよ。 料理はできるぞ、一応。 でも、忙しいから家政婦さんに作り置きをお願いしているだけで」 私の反応が不満なのか、不機嫌そうに彼はご飯を口に運んだ。 「あ、いや、家政婦さんが狡いとか思ってるわけじゃないよ」 慌てて笑って取り繕う。 「それに私の朝ごはん、いつもシリアルだけだしさ。 それに比べたらお味噌汁作って鮭焼くだけでも偉いよ」 「やった、純華に褒められた」 機嫌は直ったのか、嬉しそうに口元を緩ませて矢崎くんはお味噌汁を一口飲んだ。 そういう素直で純粋なところ、もうすっかり拗れてしまった私から見れば凄く眩しかった。 「明日の土曜は仕事だっけ?」 「そう」 食事をしながらさりげなく矢崎くんが聞いてくる。 「日曜は?」 「場合によっては仕事」
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