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「どうしてそこまで、私に拘るの?」
「俺は純華が好きだからだ」
彼の答えを聞いて、私の口から重いため息が落ちていく。
「私のどこがいいの?」
「真面目で、笑うとすっごく可愛いところ」
「……は?」
即答されて、穴が開くほど矢崎くんの顔を凝視していた。
真面目は、わかる。
真面目すぎて周囲からは敬遠されがちだ。
でも、〝笑うと可愛い〟が理解できない。
それだけならまだしも、さらに〝すっごく〟がつくともう、わけがわからなかった。
「えっと……。
その眼鏡、あってる?」
もうそれ以外に私が可愛く見える要素なんて考えつかない。
「あってるが?
一週間前に新調したばかりだし。
てか純華、気づいてくれないんだもんなー」
不服そうに彼が唇を尖らせる。
「……ごめん」
なんとなく謝ったが、これは私が悪いのか?
前と同じ黒縁スクエアの眼鏡だから、どこが変わったのかわからないんだけれど。
「純華は笑うと可愛いよ。
俺はその笑顔に惚れたんだ。
きっと純華は、覚えてないだろうけど」
「はぁ」
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