第二章 それまでは夫婦でいさせて

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矢崎くんは朝食を食べてしまい、丁寧に手をあわせた。 そういうところ、育ちなのかな。 「そんなわけで俺は絶対に純華と離婚しない。 純華が俺を嫌いだというのなら話は別だが」 そう言われて勝機が見えた気がした。 「私は矢崎くんがきら……」 速攻で彼を拒絶する言葉を口にする。 しかし、最後まで言い切らせないように彼の唇が私の唇を塞ぐ。 唇が離れ、テーブルに身を乗り出している彼を上目で睨んだ。 「……嫌いだよ」 これはさっきと違い、心からの気持ちだ。 「嘘だね」 椅子に座り直し、矢崎くんが私から視線を逸らして麦茶を飲む。 「嫌だったらもっと嫌そうな顔するし、平手の一発くらい喰らってるはずだ」 「うっ」 図星すぎてなにも言い返せなかった。 彼とのキスは嫌じゃない、むしろ――嬉しい。 けれど私には、受け入れられない理由があるわけで。 「明確に嫌いだと拒否されない限り、俺は離婚なんてしないからな。 ほら、早く食べてしまえよ、遅刻するぞ」 「ううっ」 しぶしぶ、残りのごはんを食べてしまう。
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