第二章 それまでは夫婦でいさせて

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仕事の合間を縫って資料を漁り、昨日の「瑞木係長は子供がいないからわからないでしょうけど」案件の解決に乗り出す。 私はいったい、なにを見落としている? 自分には子供はいないが、友達の子供を連れていったと想定して考え直した。 「ああ、そうか」 ベビーカーで入るには、段差が多い。 スロープもあるが、遠回りしてもらわなければならない。 これではベビーカーの人はもちろん、車椅子の人も困るだろう。 「スロープの位置を見直して……」 解決策が見えればあとは簡単だ。 私はマウスを操作し、新しい会場案を作っていった。 終業時間までに今日やってしまわないといけない仕事を終わらせ、加古川さんの仕事に手をつける。 手つかずの資料をまとめ、請求書の下書きも作った。 「純華ー」 加古川さん用に伝達事項まとめを作っていたら、矢崎くんが迎えに来た。 ちゃんと私の仕事が終わる頃を見越してくるあたり、さすがだ。 「もう終わるから」 「うん、そこで待ってるな」 「うん」 彼が休憩コーナーを指す。 それに頷き仕事を速攻で終わらせる。
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