第二章 それまでは夫婦でいさせて

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「お待たせ」 「いや、いい」 一緒に裏口から会社を出る。 部署に残っている人間はもういなかった。 「夕食、どうする?」 「あー、そうだね……」 今度こそ、離婚の話をしなければならない。 「あそこの居酒屋、行こうか」 たまに行く、個室の居酒屋を提案する。 「いいよ」 矢崎くんも承知してくれてほっとした。 お店に入り、矢崎くんはハイボール、私はウーロン茶を注文した。 「飲まないのか?」 「あー、うん」 曖昧に笑って言葉を濁す。 酔って昨日みたいに勢いで変な決断をしては困る。 「こんなに残業して、規定は大丈夫なのか?」 すぐに届いたハイボールを飲みながら、矢崎くんは心配そうだ。 「……はっきり言って、ヤバい」 もうずっと、上司と人事からこの件では注意を受けっぱなしだ。 かといって残業、休日出勤しないように注意するだけで、一向に解決案は考えてくれないが。 「だよなー。 でも俺から口出しできないし……」 はぁーっと苦悩の濃いため息が矢崎くんの口から落ちる。
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