第二章 それまでは夫婦でいさせて

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そんな事実はないが、それでも聞いておきたかった。 それに、こちらのほうが重要かもしれない。 「場合による、かな。 なにか事情があって純華が罪を犯したのなら、全力で俺が守る。 悪意だけでやったのなら、俺の全部で純華を更生させる」 強い信念のこもる目が、レンズの向こうから私をいるように見つめている。 ああ、この人は……。 「まあ、純華に限って悪意でなんかするとかないだろうけど」 ふっと唇を緩ませ、彼はグラスを口に運んだ。 「わかった、ありがとう」 歓喜に沸く顔を見られたくなくて、俯いた。 こんな人に愛されて、私は幸せ者だ。 ――矢崎くんが、好き。 初めて自覚した、自分の気持ち。 こんな彼なら母も、あの男の親戚でも受け入れてくれるかもしれない。 だから。 「日曜、矢崎くんをお母さんに会わせるよ」 「それって……」 驚いたように目を少し大きく見開いた彼に頷く。 「私はこの結婚、受け入れようと思う。 でも、お母さんに反対されたときは、ごめん」 誠心誠意、矢崎くんに頭を下げる。 私も、母を説得しよう。
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