第一章 同期と勢いで結婚しました

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数少ない友人のひとりには子供がいて、ときどき子守をさせてもらっている。 私は仕事の役に立ち、彼女は自由時間ができてwin-winの関係だ。 でも、それでは足りないのはわかっている。 それでも。 「朝は朝でお母さんから結婚勧められるし。 ほんと今日、最悪。 ねえ、結婚して子供がいたら、そんなに偉いの?」 テーブルの上に片腕をのせ、ぐいっと矢崎くんのほうへと身体を乗り出す。 「俺だってまだ結婚もしてないし、子供もいないからわかんないな」 困ったように笑い、彼はグラスを口に運んだ。 「まあ、ひとりで生きていくだけでも大変なのに、子供も育ててるんだから偉いのはわかるんだけどさー」 グラスを持ち上げたが空になっているのに気づき、注文端末を操作した。 「矢崎くんは?」 「じゃあ、俺もハイボール追加。 あと、唐揚げも頼んでいいか」 「了解」 自分の分と一緒に彼の分も頼む。 手持ち無沙汰になって、枝豆をちまちまと食べた。 「どっちにしろ、結婚して子供がいるのが勝ち組だとしても、私には無理なんだけどさー」
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